プロフェッショナリズムを植え付ける方法。

前章では、日本のフットサルリーグ戦レベルを世界最高クラスに引き上げることをなぜ考えないのか、そのための近道として、トップレベルではなく都道府県リーグに蔓延するアマチュアリズムを払拭してやることを提案した。

前の章:日本列島フットサル改造論 / 第2章 スペインに学ぶこと。

海外と日本の差は何か。

海外、とりわけ今のところスペインリーグが最高峰だとすれば、日本とスペインの差は一体なんなのか。

一言で表すと、「メンタリティの違い」である。

スペインには下位のリーグにまでプロフェッショナリズムがあり、日本の下部にはアマチュアリズムがはびこっている。

競技志向なのに、上を目指していない感じのチームが、日本にはあまりにも多い。

「仕事じゃないんだから自分たちが楽しかったら別にそれでいいやん」という、典型的なアマチュアリズムだ。

そういう考え方が悪いとは思わないし、全てがそういうチームなわけではない。が、少なからず存在する。仮に上のカテゴリに昇格のチャンスが訪れたとしても、「俺たちは別にそういうんじゃない(上は目指してない)から・・・。」と、一応、昇格できなかったときの口上を用意しておいたりする。

アマチュアリズムは伝染するが、簡単に取り去ることもできる。

アマチュアリズムは、伝染して勢力を広げていく。
同じリーグに、本気でフットサルに取り組んでいるわけではないが、皆能力が高くてそこそこ強いチームと、とても熱心に練習しているが個々の能力が及ばないチームがいるとする。試合では、本気で取り組んでいないチームの方が結果を出せたりする。熱心なチームの選手の中には、必死に辛い思いをしてトレーニングするのがばかばかしくなる選手も出てくる。

これから真剣にフットサルを始めようかという若い選手がまず手始めに選択したチームが、もしもアマチュアリズムの強いチームだった時、その選手は、無限の可能性を秘めた最も大切な数年間を無駄にしてしまうことがある。

「フットサルに対して真剣じゃないけど勝てるチーム」というのは確かに傍目にはカッコよく映るが、多くのチームや選手を見てきた僕から言わせれば、せっかくの才能を生かし切れていない、勿体ないとしか言いようがない。

アマチュアリズムは蔓延するが、無くすこともできる。
そもそもアマチュアリズムとは、マインド(意識や考え方)の集合体なのだ。プライドや向上心や闘争本能など、元々スポーツ選手に標準装備されているはずの心理をくすぐることで、「ひょっとすると俺たちの取り組み方はすごく勿体ないのかもしれない。」と疑わせることができる。

選手が持つアマチュアリズムを取ってやる方法は、「とにかく世間に注目されること」である。
注目されることで選手のメンタリティは確実に変化して、意識を高く持つことができる。

チームのアマチュアリズムを拭い去る方法は、簡単に言うと、「鼻っ柱をへし折ってやること」である。プロ意識を持った選手の集団によって、そのチームを完膚なきまでに試合で叩きのめすのだ。
なぜ全く歯が立たないのか。考えさせられるような敗北を経験した時、マインドが変わる選手が複数いれば、そのチームは必ず良い方向に変わり始める。

全てのチームがプロフェッショナリズムを持つことは必要最低条件である。

この小さな島国のフットサルリーグを、スペインと肩を並べるぐらいのレベルにするつもりがあるのであれば、少なくとも全てのチームにプロフェッショナリズムを植え付けることは必要最低条件だと僕は思う。

そのために、具体的に何をすればよいのか。

今のところ全チームのプロ化は金銭的に厳しい。
だが、プロ化を目指すためにそれほど金をかけずに今すぐに出来ることは、ある。

プロ化せずにプロフェッショナリズムを定着させる方法は、チームと選手のブランディングだ。
大きな金が動かないアマチュアスポーツでリーグを成功させようとするなら、取るべき手段はブランディングしかないと言っても過言ではない。

チームのウェブ戦略を強化する。

Twitterは最も大事。

まず、Twitterの公式アカウントを全国の地域リーグから都道府県リーグに至るまで、全てのチームに作らせる。
費用は一銭も掛からない。

期限を決めて、カテゴリ毎にチームの公式アカウントの最低フォロワー数を定める。(例えばFリーグは1万人、地域リーグは5,000人、都道府県1部は2,000人など、ハードルは現状より高めに設定する方が良い。)期限までに既定のフォロワー数を満たさなければ、次シーズンは強制的に降格させるようにする。冗談だとお思いだろうが、僕はいたって真面目だ。

みんな焦って、自分のチームを全力で宣伝するはずだ。
必死でやれば、出来ないことではない。

それでもフォロワーが増えずに困るチームも出てくる。
その場合は、情報発信力をつけて、フォロワーを獲得する必要がある。まずは自チームの魅力を見せなければならない。そして、活動している地域に対して有用な情報発信、地域に貢献する活動をしなければならなくなる。それがチームの方針に沿ってできない選手は、競技志向ではプレーできなくなる。

既定のフォロワー数を獲得できる頃には、数社のスポンサーから活動資金をサポートしてもらえるようになっていることだろう。

Fリーグクラブでも、未だにTwitterの公式アカウントを持たないクラブがあるというが、僕から言わせれば言語道断である。

公式ウェブサイトは当然全てのチームに必要。

今あなたは、このブログを読むにあたって、何の媒体を使っているだろう?

僕のブログへのアクセスは、じつに95%以上がスマートフォンからのアクセスである。
今やほとんどの方が、スマホを使ってウェブにアクセスするのだ。チームやリーグの公式ウェブサイトは、スマホからの閲覧に最適化されているべきなのだが、出来ているフットサル関連サイトはどのくらいあるだろうか。

そしてまた、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSは、簡単でタイムリーな情報発信には向いているが、アーカイヴ(保存される記録)向きではない。記録はそのチームやリーグの歴史となり、ストーリーとなる。公式ウェブサイトはそういうストーリーをいつでも好きな時に、しかも瞬時に探し出せるためのものでもあり、公式ウェブサイトをしっかり運営することで、ファンとの信頼関係を築くことができるようになるのだ。

メディアの力は絶対に必要だ。

futsalEDGEというウェブサイトがある。

僕の大好きなフットサルライターのひとり、キタケンこと北健一郎氏が編集長を務めるフットサル情報サイトである。
2年前のサイト立ち上げの時の熱い気持ちを、最近Facebookで紹介されていたので、こちらでもご紹介する。

「futsalEDGE」の所信表明 フットサルには「メディアの力」が必要だ

内容は、まさにその通り!唸ってしまった。フットサルは間違いなく面白いのだ。

しかしメディアも、僕が知る限り、競技フットサルから少しずつ離れていっているように感じる。
それはなぜか。競技フットサルが、金にならないからである。

メディアが儲からない原因は、蔓延したアマチュアリズムにあると、僕は感じている。

全てのチームが情報発信するとき、フォトグラファーの存在が絶対に必要になる。そして、プロの写真には相応の対価を支払うべきだ。正直なところ、10年前までは僕も、アマチュアスポーツなんだから写真ぐらい無償提供してほしいなどという甘えた感覚を持っていたが、そんな考えでは絶対にいけない。

フォトグラファーに対価を支払い、クオリティの高い情報発信をして、それをまたメディアが取り上げる。これを地道に繰り返すことで、より多くのファンを獲得することができる。多くのフォロワー、多くのファンを集めれば、それがスポンサー企業にとっては魅力的に映るのだ。仮にその数パーセントが試合を見に来るだけでも、1日を通してみればかなりの人が会場に集まることになる。

チームの自主的な意識改革を待っていては、100年経っても前進はない。

こういったことを実現させるには、トップダウンで義務化するのが最も手っ取り早い。

指導者資格や審判員資格を義務化するよりも、よほどプロフェッショナリズムが植え付けられると思うが、いかがだろうか。

 

 

今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。



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