サテライトを作ってみて初めて分かった、チームにとって最も大切なこと。

2008年にセレクションをして、サテライト(いわゆる2軍)を立ち上げた。
サテライトチームを作ることが、末永く存続し続けるクラブとなるために欠かせないピースの一つのような気がしていたのだ。

トップ、サテライト、ジュニア、レディース。
恰好だけでも、一刻も早くピラミッドの上から2段目を揃えたいと思っていた。

立ち上げから1年間の準備期間を経て、サテライトを2009年度の京都府リーグに参戦させた。
参入したその年は京都府3部リーグで優勝、翌年に京都府2部で優勝して、首尾よくストレートで1部まで駆け上がることができた。さすがに1部では中位~下位に低迷したのだが。

理想は、シーズン中いつでもトップと選手を入れ替えられるような体制づくりだった。

去る者は追わず、来る者は拒まずが信条。

サテライトを立ち上げる前、トップチームはセレクションを時々行っていたが、練習参加の希望も随時受け付けていて、とても多くの選手が練習に参加してくれていた。

僕は来る者拒まず、誰でも練習に参加させてしまう癖がある。どんな選手にも必ずストロングポイントがあって、それが何なのか、しばらく一緒にトレーニングをしてみたり、練習試合をこなしてみないとわからないことも多い。だから僕は出来る限り誰でも練習に参加させた。ところが、トップチームの選手の中には、これではチーム練習にならないと不満を口にする者もいた。中には即戦力となりうる選手もいるが、まだそこまでじゃないレベルの選手の方が多くて、そういう練習生がトップチームの練習のレベルを下げてしまうことがあるのだ。それも道理である。そこでサテライトを立ち上げることで、練習生のエントランスとして機能させる目的もあった。

トップの選手に危機感を持たせる役目も。

たとえトップチームで登録されていても、パフォーマンスが悪ければいつでもサテライトの選手と入れ替えることもできるようにするつもりだった。実際に大学生や有望な若い選手もたくさん入ってきた。フットサル経験の少ない選手には、まずはフットサルに慣れるために京都府リーグで戦いながら、トレーニングはできるだけトップチームとコンセプトを同じにして、見込みのある選手はトップの練習にも参加するよう促した。

若い選手はできるだけ早く関西リーグで経験を積ませたい。関西で自信をつけてFリーグや代表を目指すなら最高だ。そう考えていた。

選手はモノではない。シミュレーションゲームのようにはいかない。

サテライトを立ち上げる時、僕はある勘違いをしていた。

その勘違いとは、次々と入団してくるサテライトの選手たちは常に「トップチームに選手登録されること」を目的としているはずだと思い込んでいたことだった。

いや、入団当初は皆たしかにそうだったのかもしれない。
ところがサテライトで一緒に練習を重ねて、多くの時間を仲間と共に過ごし、多くの勝利や敗北を経験することで、「このメンバーで戦って勝ち上がって、喜びを皆で分かち合うこと」も、選手にとっては立派な目的の一つになった。

僕がトップに上げたいと考えている選手にことあるごとに「トップでやってみないか」と訊ねたところ、ほぼ全員が「いいえ、このままサテライトでやりたいです」と答えたのだ。

アマチュアチームにとって最も大切なこと。

Fリーグや他の地域リーグのクラブの方々からしたら、そんな考えは甘いのかもしれない。そんなことでは到底、プロや代表は目指せない。
しかし僕は「サテライトでプレーしたい」と言った彼らを、甘いとは思わない。

選手一人ひとりにとって大切なのは、「誰と共にプレーするか」だったのである。彼ら個人個人はそれぞれ各々の人生を生きていて、有限の時間にするフットサルを誰とプレーするかを決める自由を持っているはずなのだ。僕が育成のために立ち上げたサテライトは、クラブの育成組織という階段の踊り場のような存在ではなかった。れっきとしたチームという存在になっていたのだ。

馴れ合いだとか、考えが甘いという意見もあるとは思う。
しかし、チームにとって最も大切なことは、個人を大事にすることであると僕は思う。

最後に

僕は中途半端な形で、挨拶も無しでサテライトの監督を降りることになってしまった。そのことを今も悔いているし、メンバー一人一人に大変申し訳ないと思っている。

決して強くはないが、僕が辞めた今も、サテライトは自分たちの力で立派に戦っている。いつか応援に行かなければいけない。

 

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今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。



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