前回の記事、当該チーム間の対戦成績を優先しないほうがよい、3つの理由。には、多くのご意見やご指摘をいただいた。
僕は前回の記事で、リーグ戦の順位決定において、「勝点の次に当該チーム間の対戦成績を優先するルール(以下当該ルールと呼ぶ)」よりも、「勝点の次にリーグ全体の得失点差を優先するルール(以下得失点差ルールと呼ぶ)」のほうが相応しいので、昔のように得失点差ルールに戻すほうがよいと書いた。
しかし多くのご指摘では、得失点差ルールでは不公平になる場合があるという。
いったいどんな場合なのか。
それは、リーグ戦のチームの中に、突出して力の劣るチームや、無気力なチーム(以下弱いチームと呼ぶ)が含まれている場合に起こる。
もしも得失点差ルールが採用されている場合、沢山の点差が開いてしまうような弱いチームがグループ内にひとつでもいると、試合の順番(その弱いチームと対戦する順番)によって、有利不利があるというのだ。
弱いチームと先に対戦するほうが不利で、後から対戦するほうが有利になるという。
2つの例をあげてみよう。
例1. 全国大会などでよくある3~4チームの少数リーグ戦の場合。
仮に全国大会の予選リーグで、4チームのリーグ戦を行っているとしよう。
ルールは僕が推奨している、得失点差ルールだとする。
4チームの中には、力の均衡した強いチームが3チーム、弱いチームが1チームいるとする。
大方の予想通り、弱いチームは強いチームに3連敗した。それも1-6、0-4、2-8など、結構な大差での3敗だ。
強いチーム同士の対戦は、3チームとも1勝1敗である。いわゆる当該チーム三つ巴の争いだ。
勝点では3チームとも6点で同点になるので、最後に弱いチームと対戦した強いチームは、得失点差を稼ぐために試合開始からパワープレーを敢行して、見事に8-2で勝利し、1位で決勝トーナメント進出を果たした。
これに対して、強いチームの残り2チームが、試合順が不公平だから来年からは当該ルールに改めてほしいと言う。
例2. 多チームの通年リーグの場合。
ある県1部リーグ、12チーム総当たり1回戦のリーグ戦で、優勝チーム1チームだけに地域リーグの入替戦への出場権が与えられるとしよう。
このリーグには、力の均衡した強いチームが3チーム(A、B、C)と、突出して弱いチームが1チーム(Z)が参加している。
A対Zは6-0で終了した。
B対Zは10-0で終了した。
C対Zは、Zがただでさえ弱い上に試合当日に選手が4人しか集まらず、24-0という結果になった。
A、B、Cの勝点は最終節を前にして並んでいる。Cは最終節に引き分けて、AとBは最終節に直接対決。AとBの勝者が決すればその勝者が優勝という状況になった。
AとBの試合は引分けに終わり、結局勝点は三つ巴となり、CがZとの対戦で稼いだ得失点差のおかげで、優勝した。
AとBは、じつはCに勝利していたが、それぞれ別のチームに2敗していたのだ。
Zとの対戦があまりに不公平なので、運営は来年からは当該ルールを採用することにした。
みんな、大きな勘違いをしている。
全ては結果論であるという盲点に、実は多くの方が気づいていない。
突出して力の劣るチーム(弱いチーム)がいる場合に・・・というふうに一括りにしてみたが、まずこの強い弱いの判定基準など、リーグ開幕前には存在しないはずである。結果的にどのチームにも負けてしまったから、終わってから弱いチームというレッテルを張られることになるのだが、リーグ戦の始まる前は、れっきとした出場権を持つ優勝候補のチームと同列のチームのひとつなのである。弱いチームがシーズン中に劇的に強くなることだって、大いにあり得ることだ。
また、試合順の有利不利も全て、結果論でしかない。
自分たちから見て弱いと思われるチームに対しては、ライバルより先に当たろうが後に当たろうが、しっかり勝つこと、そしてできる限り得点差をつけて勝つことを徹底するはずだ。先に当たったチームはできる限り得失点差を稼いで、後から当たるライバルにプレッシャーをかければよい。必要なら頭からパワープレーをすれば良い。
そもそも絶対的に公平なスポーツなど、存在しない。
4人しか集まらなかったチームとの試合で大量得点したチームを、あなたはうらやましいと思うだろうか。ずるいと思うだろうか。
得失点差を稼げていいなと思う人もいるかもしれないが、僕から言わせれば、そんなのはただの運でしかない。
4人だけのチームとの対戦も、得点王を争うほどのポイントゲッターが運悪く怪我で出られないそこそこのチームとの対戦も、相手が万全の状態ではないという意味においては、同じである。たまたまその日、相手がそうなってしまっただけなのだ。大きく違うように思えるが、大差無いのである。
例えば全国大会で、前評判では強豪チームと言われるチームの主力選手がこぞってインフルエンザにかかってしまい、突出して弱いチームに成り下がってしまうことだってある。これはただの不運である。不公平とは言えないし、このチームが無気力なわけでもない。
例えばこれを、リーグ戦が終わってから、弱いチームとの対戦順が不公平だというのは正しいだろうか。
だとすれば、何をもって公平というのか。
最低限の公平性は、抽選(くじ引き)という部分と、統一されたルールが保っているはずなのだ。
開催地のチームは最も有利だし、本拠地が開催地から近ければ近いほど有利である。これを不公平という。
絶対的に公平なスポーツなど、この世に存在しない。
全勝すれば文句なしの首位になれる。
リーグ戦においては、「全勝すれば文句なし。」これだけが真理である。これ以外にはじめから言える真理など存在しない。勝点を多く稼ぎ、得点を多くとって、失点を少なくする。それがリーグ戦、総当たり戦だ。
試合順の公平性は複数試合をする以上、どんなルールであろうと保つことはできない。
くじ引きという決め方が、公平なのだ。
まとめ
多くの方々のご意見を聞いたうえで再考した結果、やはり前の記事、当該チーム間の対戦成績を優先しないほうがよい、3つの理由。に書いた通り、得失点差を優先するルールの方が良いと僕は考えている。
- 総当たり戦は、チームの総合力を競い合うべきもの。
- 引分け万歳の文化が根付くのは危険。
- 消化試合が多くなるのは良くない。
理由もやはり以上の通り。
リーグ戦のそもそもの目的と、フットサルという競技レベルの向上、そしてエンターテインメントとしての面白さを考えた時、得失点差ルールに戻さない理由が見つからない。
皆さんは、いかがお考えでしょうか。
今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。
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