地域リーグのチームが選手権でFに勝つためにやらなければならないこと。

面白いのはF対地域のはずだった。

全日本フットサル選手権の1次ラウンドには、独特の面白さがある。

今大会は出場24チーム中、Fリーグ勢が10チーム(リーグ3位~12位)、地域リーグ勢(※)が14チーム出場していた。その注目度は、Fリーグ勢同士の対戦、Fリーグ勢vs地域リーグ勢の対戦の順に高く、地域リーグ勢同士の対戦にはあまり注目が集まらなかったように感じる。

※ペスカドーラ町田アスピランチは今シーズン東京都1部だったが、来シーズンから関東2部リーグに昇格するので地域リーグ勢と呼んで差し支えないだろう。

注目の試合は実際どうだったのか。

Fリーグ勢同士の対戦

1次ラウンドではFリーグ10チームが6ブロックのリーグに分かれたので、A・B・D・Eの4ブロックにFリーグチームが2チーム入った。そして、Fリーグ勢同士の対戦が恐らく1位決定戦になるであろうという予測の元、大会の組合せがうまく作られていた。実際にその狙い通り、1次ラウンド最終日、3日目の対戦は白熱した。

3月12日(日)のFリーグ同士の対戦(観客数)

浦安 4-3 仙台(350人)
府中 2-1 浜松(450人)
すみだ 3-3 北海道(300人)
名古屋 4-5 湘南(450人)

4試合とも手に汗握る好ゲームだ。
残念なのは無料でこれらの好ゲームが観られるにも関わらず、観客数が非常に少なかったことである。これがもしも3会場に分かれる形ではなく、一つの会場で行われていればどうだったであろうか。

Fリーグ勢 vs 地域リーグ勢 の対戦

今大会のFリーグ勢vs地域リーグ勢の試合は全22試合行われたが、22試合ともFリーグ勢が勝利した。詳細はこちら

引分けは無く、1点差ゲームはバサジィ大分対同志社大学(4-3で大分が勝利)の1試合のみ。ミカロ仙台がヴォスクオーレ仙台に一時リードする好勝負を見せたのと、名古屋サテライトがアグレミーナ浜松を相手にパワープレーで怒涛の反撃を見せた以外は、Fリーグ勢が圧倒的なレベルの差を見せつけたと言ってよいだろう。

Fに勝つために足らないと感じたこと。

Fと地域では、インテンシティに圧倒的な差がある。
インテンシティと一言でいえば簡単だが、抽象的かつ曖昧で分かりにくい。が、最もシンプルに言い表せる言葉だと思う。

プレイスピードやプレイ強度、プレッシャーのスピードや強度そして頻度、球際の強さ、プライドや自信、信頼感やメンタル的な強さという、あらゆる強さの要素の総和と捉えてもらえばよいだろうか。

インテンシティの差は、その試合だけ頑張れば埋まるものではない

Fリーグは年間を通して地域リーグよりもタフな試合をほぼ毎週行っていて、高いインテンシティで戦える素地が出来ている。それが無い(圧倒的に劣る)地域リーグのチームがFリーグのチームに勝つつもりであれば、それなりの戦術的対策を取らなければならなかったはずだ。

それなりの戦術的対策とは

インテンシティで圧倒的に劣る地域リーグ勢がFに勝とうと考えるなら、少なくとも試合を僅差で終盤まで進めるべく、ポゼッションを捨てて守備を徹底して、数少ないカウンターのチャンスを活かすしかない。

第14回の選手権(2009年)に、Fリーグの3クラブ(浦安、神戸、名古屋)を立て続けにやぶるジャイアントキリングを見せて優勝したフウガ目黒(現フウガドールすみだ)のようにだ。

そういう意味では、今回の地域リーグ勢は正面からガチで戦っているチームが多すぎたように感じる。
なお、自分たちのフットサルがどれだけFに通用するか、試してみたいというのも分かる。たとえぼろ負けしようと、その方がかえって潔く、清々しいともいえる。

通用しないことを痛感した記憶は、時間とともに薄れる

(来年もこの舞台に戻ってきて、来年こそ必ず爪痕を残してやる。)

差を痛感して、そう決意して新たにシーズンを迎える。
しかし、地域リーグが始まってしばらくすると、多くのチームがその記憶を忘れて地域リーグのぬるま湯に浸かってしまう。

 

Fとガチで戦うなら。

来年度の選手権で、地域リーグのチームがFとガチで戦って勝ちたいと考えるなら、それなりの覚悟を持って取り組む必要があると僕は思う。

二兎を追う者は一兎をも得ず。

地域チャンピオンズリーグで優勝して、選手権でFに勝つ。

まず、この両方を目指すのをやめよう。虫が良すぎる。
どちらか一つに絞ろう。そうすればひょっとすると、どちらも成し遂げられるかもしれない。

選手権でFに勝つには

選手権でFに勝つことを目標にするのであれば、年間に2つのピークを作る必要がある。
ひとつは12月から1月頃の地域大会。もうひとつは、3月の全国大会だ。

シーズンの終盤にチームがピークを迎えるように、逆算して作り上げるのだ。

常にインテンシティの高い練習、練習試合、公式戦を続けること

これは非常に難しいことだ。
例えば格下との練習試合だったら、多くのチームが強度を落として相手に合わせてしまう。

レフェリーもFと地域ではフィジカル的な基準が違うものと思っておかなければいけない。
地域リーグでF基準のインテンシティでプレーすれば、笛を吹かれる回数は確実に増える。そのことにいちいち反応していてはいけない。
公式戦ではどうしてもファウルがかさみ、第2PKを献上したり、累積で出場停止を食らったりもするだろう。

規律を徹底して、チーム全体に理解を浸透させること。

これも難しいが、絶対に必要なことだ。
特にディフェンスに関しては全員が完璧にコンセプトを理解する必要がある。
攻撃の手数も、多ければ多いほど良い。

地域リーグの成績は二の次にしなければならない

目指すのは打倒Fであって、目の前に現れる地域リーグのライバルに勝つことではない。
春先から夏にかけては、地域リーグで敗れることもあるかもしれない。

「地域で負けるようなチームがFに勝てるわけがない。」と、多くの選手がモチベーションを落として、移籍を考えたり練習を休みがちになったりする。これが最もいけない。

「所属する地域リーグで少々負けることは想定の範囲内だ」というマインドセットを浸透させよう。
偉業を成し遂げるには、そこに至るまでに多くの障害が立ちはだかるものだ。

ディテールの修正は秋口からで良い

春から夏の戦術的なコンセプトはざっくりで良い。とにかくしっかり走ることと、体を作ること。
春から夏を走り抜けたら、秋口からは本格的に戦術的な細かい修正に入ろう。
フィジカルトレーニングはチーム練習の前に別で時間を取るほうがよい。コートの中でやる必要も無い。チーム練習はフィジカル的に疲労している状態の方がより本番のシチュエーションに近づけられる。

秋も深まる頃には地域リーグに敵なしの状態に

地域リーグも中盤から終盤に差し掛かる頃には、順位的には優勝を目指せるかどうか分からないが、(どこにも負ける気がしねー)というチームに仕上がっているはずだ。

運が良ければ、「ひょっとすると地域チャンピオンズリーグにも出られるかもしれない」ぐらいの成績になっているかもしれない。どのチームにも、選手権の地域予選であのチームとは当たりたくないと思われることだろう。

 

まとめ

地域リーグのチームがFに本気で勝つつもりなら、それを1年間のチームの最大の成果目標として、チーム全体の意識をマネジメントする必要があると思います。

地域リーグはFリーグ下部組織を除いて、年々インテンシティが下がっているように僕は感じます。
このままでは確実にFリーグとの差は開く一方でしょう。
自分が昔、地域リーグチームを率いていただけに、地域リーグ勢にはもっと頑張ってもらいたい。

皆さんはどのようにお考えでしょうか。

 

今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。



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