セカンドキャリアに審判員という選択肢が生まれないのはなぜか。

Jリーグには13名のプロフェッショナルレフェリー(プロ契約の審判員)がいることをご存知でしょうか?

2017シーズンは主審・副審合わせて141名のJリーグ担当がいます。そのうちの13名がプロですから、審判員のおよそ1割はプロ審判員であるというわけです。

Jリーガーを引退してレフェリーを目指す流れは、今のところまったくあまり聞かない

はじめは「まったく聞かない」と書きましたが、Jリーガーを引退してプロフェッショナルレフェリーを目指している方が、一人いらっしゃいました。
Twitterでリオファン☆さん()がご指摘くださったのでご紹介します。リオファン☆さんありがとうございます。

情報源: 御厨貴文、Jリーガーからプロ審判への道「サッカー選手の価値を高めたい」 – スポーツナビ

プロのサッカー選手がセカンドキャリアで一番に目指すもの。それは、好きなサッカーに関わって生きてくことだと思います。
ところが、トップレベルのプロ選手が引退後にレフェリーになるという話は、今のところ一般的ではありません。

レフェリーという職業が、元サッカー選手に最も適性のある仕事と言っても過言ではない職業であるにも関わらず、です。

元プロサッカー選手が、なぜレフェリーに向いているか。

元プロサッカー選手には、普通の人よりもレフェリーとしての適性にアドバンテージがあります。

身体能力が優れている。

トップレベルのサッカー選手だったのですから、言わずもがなです。
レフェリーに必要な身体能力、スピードとスタミナを十二分に持ち合わせています。

選手とのコミュニケーションが取りやすい。

ピッチ上ではいわゆる後輩だらけの選手達同士が戦うわけで、選手とのコミュニケーションは取りやすいはずです。
試合中に選手とコミュニケーションが取れるということがどれほどポジティブなことかは、サッカーに造詣の深い皆さんなら容易に想像できるでしょう。

よりサッカーを知っている。

レフェリーはルールを熟知していて、基本動作を確実にできればそれだけでよいというわけではありません。
ときにはピッチを俯瞰して見る力、ときには展開やラインを予測する力、ときにはシミュレーションや挑発行為を見抜く力、そして選手のメンタリティを把握してマネジメントする力が必要です。普通の人が10年以上かけて培うような経験値を、元選手なら標準装備されている人が多いのです。

なぜレフェリーを目指さないのか。

元プロサッカー選手が、これらの圧倒的なアドバンテージを活かしてレフェリーの世界に飛び込んでいかないのは何故なのか。客観的に考えてみました。

批判されるから

選手が失点に絡むようなミスをしても、一時的に批判されるだけで済みますが、レフェリーがゴールシーンに絡むようなミスジャッジをすると、「世紀の大誤審」などと叩かれて、まるで犯罪者のような扱いをうけることがあります。

例えば誤審が起こったとき、通常は「そのシーンでなぜ誤審が起こったか」にフォーカスを当ててみます。するとその理由が明白になり、そのあとに「そういう理由だったらしょうがないよね」とか、「それはプロセスが悪いよね。であればこのレフェリーは現時点でこのカテゴリは任せられないよね」という結論を出すことができます。
ところがマスコミやサポーターは、なぜ誤審を犯すようなレフェリーを使うのかという議論にまで飛躍してしまいがちです。このような「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というような思考は、レフェリーという仕事の魅力を損なわせるのに十分なのでしょう。

割に合わない

最近のJリーグを見て感じることは、レフェリーの技術がめちゃくちゃ上がったということです。試合のマネジメントとか表現力、ゲームコントロールは格段にレベルアップしているように感じます。しかし上にも書きましたが、依然としてメディアから「審判問題」と総じて揶揄されることは多く、それに対する収入が割に合わないという感じはあります。

結局のところ、レフェリーはリスペクトされていないのではないか

選手や指導者がレフェリーを心の底からリスペクトしているとすれば、引退後に選択肢の一つになってもおかしくないと僕は思います。それが無いということは、結局のところ、リスペクトというのは建前なのではないかと、感じてしまうわけです。

 

まとめ

サッカー選手やサッカーファンの為に、試合がストレスなく円滑にルールにのっとって行われるようにしてあげることがレフェリーの仕事であるとすれば、プロフェッショナルレフェリーを増やすということもまた必要な施策なのではないかと強く思います。

であれば、プロサッカー選手のセカンドキャリアに審判員という選択肢が、指導者の次ぐらいに位置するような施策を、協会は考えてみる必要があるのではないでしょうか。

フットサルのレフェリーの場合は、まだまだサッカーと同様に論ずることがおこがましいぐらいの待遇でしかありません。
技術を上げようとすれば、それにかける時間も必要となるわけで、それならばレフェリーも待遇を上げなければ、進歩も向上も見込めるはずがありません。

協会のこれからの施策に期待したいと思います。

今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。



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