フットサルリーグ戦の順位決定方法は多くの場合、勝点の次に当該チーム間の対戦成績を優先するルール(便宜上、以下当該ルールと呼びます)が採用されている。
が、僕は断言したい。
この当該ルールは撤廃したほうが良い。
昔採用していた、勝点が並んだ場合はトータルの得失点差を優先するルール(以下得失点差ルールと呼びます)に戻した方が良い。
おもな理由は下の3つだ。
- 総当たり戦は、チームの総合力を競い合うべきもの。
- 引分け万歳の文化が根付くのは危険。
- 消化試合が多くなるのは良くない。
順に解説しよう。
1. 総当たり戦は、総合力を競い合うべきもの。
表1をご覧いただきたい。
チーム | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
A | 10 | 11 | 3 | 1 | 7 | 35 | 34 | +1 |
B | 10 | 11 | 3 | 1 | 7 | 32 | 39 | -7 |
C | 10 | 11 | 3 | 1 | 7 | 31 | 46 | -15 |
A・B・Cの3チームは12チーム総当たりのリーグ戦を終えて、いずれも3勝7敗1引分け。勝点は10ポイントで並んだ。
9位、10位、11位という下位に低迷した3チーム。
この3チームの順位は、表のとおりにA→B→Cの順になるように思えるが、実際はCが9位で、3チームの中で最も上位だった。その理由は、Cの3勝のうち2勝が、AとBとの試合だったからである。Cは、AとBの両方ともに1点差で勝ったのだ。
もう一つ例を挙げよう。
チーム | A | B | C | D | 勝点 | 得点 | 失点 | 差 |
A(1位) | 〇 4-0 |
● 0-1 |
〇 5-3 |
6 | 9 | 4 | +5 | |
B | ● 0-4 |
〇 6-2 |
● 2-9 |
3 | 8 | 15 | -7 | |
C | 〇 1-0 |
● 2-6 |
● 2-13 |
3 | 5 | 19 | -14 | |
D(2位) | ● 3-5 |
〇 9-2 |
〇 13-2 |
6 | 25 | 9 | +16 |
表2のAとDは勝ち点で並んでいるが、AはDとの試合に勝利しているため、3試合で9得点のAが1位、3試合で25得点のDが2位だ。
この表を見て、あなたはどう感じるだろうか
そもそもリーグ戦(総当たり戦)を行う理由
リーグ戦を行う理由は、2つあると僕は考えている。
ひとつは、各チームが行う試合数を確保するため。もうひとつは、できるだけ多くのチームと対戦させて総合力が高いチームを見極めるためだ。
総合的な実力を測るという目的に見合うルールが、はたして当該ルールなのか得失点差ルールなのか。
2. 引分け万歳の文化が根付くのは危険。
通年のリーグ戦で優勝を目指しているチームにとって、ライバルチームとの試合は、大一番と呼べる試合になる。当該ルールの場合、そんな大一番において「負けだけは絶対に許されない」という思考が強くなる。
優勝を争うライバルチームに負けた時に、優勝の可能性が遠ざかるのがどちらのルールであるかを想像すれば分かるはずだ。
当該ルールでライバルチームに負けると、たとえライバルチームが他のチームに1敗したとしても、ライバルを上回ることはできない。
負けだけは絶対に許されない ≒ 負けなければとりあえずOKという思考
この思考が生み出すのは、リスクを避けて無理をしない、リアクションフットサルだ。リアクションフットサルが、競技のレベルを上げることはまずあり得ない。
得失点差ルールの場合、ライバルチームに負けた時は同じように他力本願ではあるが、それでもライバルチームが1度でもコケればチャンスは生まれる。だから、望みを捨てずにほかの試合も必死に点を取りに行って、勝利を渇望するのだ。
点を取るには攻撃を重視しなければならない。その攻撃を防ぐ努力をするから、守備力が上がるのだ。リアクションフットサルは、競技レベルの停滞でしかない。日本が停滞して他国が進歩しているとすれば、日本は後退していることになるのだ。
3. 消化試合が増えるのは良くない。
先日行われたSuperSports XEBIO 第17回地域Fチャンピオンズリーグ(2017年2月17日(金)~19日(日))では、初日の予選リーグ4グループ中、3グループで準決勝進出チームが決まってしまった。もちろん当該ルールで行われた大会だ。2日目の予選リーグのうち、8試合中なんと7試合が、消化試合になってしまったのである。
もしもこの大会が、当該ルールではなく得失点差ルールで行われていれば、消化試合は8試合中、たったの1試合で済んでいた。(いずれかのチームに準決勝進出の可能性が残されている試合という意味。)
最後に
当該ルールはもともと、無気力試合を排除するための施策だったらしい。
サッカーW杯で、4チームの予選リーグにおいて2チームが本戦に勝ち上がれるレギュレーションでの施策だったらしいが、さほどメリットは感じられない。
順位を争っている相手には勝っているのに、得失点差で負けているから勝ち上がれないのは納得がいかない。という理屈は分かるには分かるが、当該チーム同士だけの部分で優劣を見るなら、そもそも総当たり戦である意味がないのだ。
なにより、3チーム以上の勝点が並んだ時の順位決定条件がややこしいことこの上ない。
できるだけ早く、昔の得失点差ルールに戻ることを願っている。
今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。
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