全国各地で、次々に競技フットサルのリーグが開幕していますね。
フットサルを見に行くと、不満に感じることがしばしばあります。
タイトルは「府県リーグを見に行って・・・」としていますが、もちろん地域リーグでも、時にはFリーグでも、もの足りなく感じることがあります。不満に感じたときはいつも、ついつい声に出してしまいます。
「遠いわ!」と。
何が遠いかというと、ディフェンスの距離感です。
ボール保持者とディフェンダーとの距離が遠すぎて、もの足りないのです。
寄せないハイプレス。
全然ボールに寄せないゾーンプレスを見たことはありますか?
ゴールクリアランス(キーパーがボールを持っている状態)で守備側が高い位置からプレスをかけてきたシーンを想像してください。ファーストディフェンダーが高い位置にいても、ボール保持者にプレッシャーをかけずにそこに立っているだけのチームがあります。
そんなのはもう、ハイプレスじゃないですよね。プレッシャーが無いんですから。
自陣でもディフェンスが遠いチームもある。
自陣に侵入されていても、ボール保持者にまったく寄せないチームがあります。ボールを奪う気が無いのか、それともただ怖がっているだけなのか。
攻撃側は、相手が寄せてこないから、逆サイドのアラにパスを出します。するとパスが少しずれて、受け手もトラップミスをして、守備側は労せずしてボールを奪ってカウンターのチャンスになったりします。
そんな時は、(いったい俺は何を見に来たんだろう)と、途方に暮れてしまいます。
ディフェンスの距離の分だけ、フットサルが後退してしまう。
競技フットサルの選手たちが、誘われて久しぶりに大ゲーム(11人制サッカーのことをこう呼ぶ人もいます)をやった時、必ずと言っていいほど口にするセリフがありました。
みんな一様に、「なんか余裕あるわー」と言うのです。
そう、大ゲームでは、ボールを受けた時にプレッシャーを感じないのです。
フットサルはサッカーよりもディフェンスとの距離が近いので、フットサルの距離感に慣れると、サッカーではボールを持った時に余裕をもってプレーできるのです。
ところが最近のフットサルを見ていると、ディフェンス時に十分に寄せないチームがあまりに多すぎて、フットサル選手が大ゲームでそんな風に余裕を感じることはできているのかなぁと、心配になってしまいます。
なぜ寄せないのか。
これだけ競技フットサルが普及して、攻撃戦術が下位カテゴリにまで浸透して、みんな洗練されたフットサルをしているつもりになっているのに、そして地域間の実力差も少なくなってきたというのに、守備に関してはむしろ後退しているように感じてしまうのは、なぜでしょうか。
なぜこんなにも寄せないチームが多いのでしょうか。
なぜみんな、球際の攻防を避けるのでしょうか。
ディフェンスを教えられる人が少ないのかも。
守備の個人技術について、しっかりと教えられる人が少ないという点が、あるのかもしれません。
なにを隠そう僕自身も、きちんと理論立ててディフェンス技術を教えることのできない指導者のひとりでした。いつも選手に言うのは、「ディフェンスが上手いやつのプレーを見て盗め」という、無責任きわまりないアドバイスでした。それでも選手たちが成長してくれたことには、とても感謝しているのですが。
そもそもディフェンスを学べる場自体が少ないのかもしれません。
ゴールの4割は守備から生まれる。
僕の調べによれば、フットサルの試合で生まれるゴールのほぼ40%が、カウンターアタックからのゴールなのです。つまり、守備から攻撃に移った時にゴールが生まれる確率は、恐ろしく高いということです。
ということは、ディフェンスの技術が上がれば、それだけチームを勝利に導くことができるチャンスが増えるということなのです。
もっと早く知りたかった、枝Dというディフェンス理論がある。
内田淳二選手(現カフリンガ東久留米)が提唱する、枝Dというディフェンス理論があります。
ディフェンスのコツ、型を持っていない選手は、デュエルに自信が持てません。自分の責任になる1対1でやられたくないから、ボール保持者から離れて、マークについているようで誰もマークしていない、何も守れない遠い位置で、ひたすら相手がミスしてくれるのを願って待っているのです。
枝Dは、あなたのデュエルを劇的に進化させてくれるでしょう。
大阪で枝Dクリニックをやります。
なぜ僕が内田淳二選手の枝Dをおすすめしたいかというと、もっと球際の攻防を楽しみたいからです。ディフェンスはもっと寄せてほしいからです。寄せないのはチームの規律、戦略なのかもしれませんが、退屈で陳腐な40分間には、観戦していてもワクワクしません。
ヒリヒリするような駆け引き、速くて連動したプレス、それをいなす技術、スペースを生み出す動き、速くて正確なパス、そういったハイレベルな攻防を、限られた40分という試合時間の中で、より多く見たいからです。それが、日本フットサルの競技レベルの向上に近づくと信じているのです。
今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。
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