フットサルの問題は、その多くが試合の前に起こる。
10年までは経たないが、もうずいぶん昔に、実際に起こった話だ。
上位のカテゴリのリーグへの昇格チームを決める、ある大会に僕は注目していた。
その大会に、個人的に肩入れしているチームのひとつが出場していた。
そのチームは主力選手の年齢的にも実力的にも、その年がピークと言ってもよい状態で、メンバーにも「絶対に昇格してやるぞ」という意気込みがあふれ出ている。僕も、とても期待していた。
そしてそのチームは予選を実力通りに勝ち上がり、この試合に勝てば昇格という、一年間でもっとも大事な一戦を迎えた。
チームのポイントゲッターが、試合に出場できないことが判明。
ところが試合の直前になって、チームの主力選手が試合に出場できないことになった。
なんでも、大会登録の氏名に、誤字が見つかったのだという。
フットサル大会登録票という、チームのメンバーの氏名などを書いて運営に提出する書類がある。
また、選手はフットサル選手証という個人カードを持っており、選手証にはF(フットサル)登録番号という、その選手だけが持つマイナンバーのような番号が記されている。
大会登録票には選手の背番号と氏名と生年月日、F登録番号を記入する。
そして試合前に、大会登録票と選手証の照合をするのだ。
恐らくパソコンで大会登録票を作成するときに、変換ミスをしたのだろう。
大会登録票に入力してある名前の一文字が、選手証の名前のそれと異なっていたのだ。
例えると、柴田恭兵さんの「恭兵」を「恭平」と書いてしまったというような違いだ。
誰も悪くない、最悪の事態。
間違いなく選手本人はその会場にいて、予選の2試合にも出場して、しかも大活躍していた。
彼はこの1年間、この日の、この試合のために厳しい練習をして、コンディションを整えて、まさにこの時のために準備をしてきて、ついに挑戦権を得たのだ。
「ルールはルールだ。登録ミスを未然に防ぐことも、実力あるチームの証だ。」と運営責任者は言う。
確かにその通りだ。正当性を主張している。ぐうの音も出ない。
あなたが選手本人の立場なら納得できるだろうか。
得点源の選手を欠いたそのチームは決勝戦で敗れ、念願だった昇格は叶わなかった。
その選手はやり場のない悔しさを嚙み締めて、コートの後片付けをした。
目的はフットサルというスポーツで競い合うこと以外にないはず。
たしかにルールはルールである。
では、選手登録のルールは何のためにあるのか。
この場合は、二重登録や、「なりすまし」「替え玉」出場を防ぐためである。
「絶対にパソコンの入力ミスをしない慎重でパーフェクトな庶務やマネージャーをチームに置くこと」を目的としているのではない。
出場できなかった選手は、どこに怒りを向ければよいのか。
大会登録票を入力したマネージャーを責めるのか。
大会登録のルールは、正当に純粋にそのチームの選手がフットサルで競い合うためにあるのであって、粗さがしをするためにあるのではない。
権力を誇示することが運営者の仕事ではない。
上記のような話は、ほんの一例である。
僕が監督をしていた時にも、理不尽なことで不利益を感じることは何度もあった。
全国各地で、似たような話は山ほど起こっている。
この問題は、パワーハラスメントと言っても言い過ぎではない。
役職や肩書が付くと、自分が全能の力を得たと勘違いする人も、少なからず存在する。
もちろん権威は必要だ。
権威には信頼が生まれるが、権力で服従させる組織には反発が生まれる。
運営者の方々がこのことを肝に銘じて、フットサル発展のために、さらに尽力していただけることを切に願っている。
今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。
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