ひとつ前の記事では、「フットサルを一生の仕事にする人たちを増やすと、業界は発展するか?」という疑問形で締めくくりました。今回はその続きです。
情熱だけで走り抜けた時代があった。
Fリーグが始まる前までの黎明期(Fリーグが始まったのは2007年9月)は、情熱だけで競技フットサルを続けられる時代で、(プレイヤーではなくスタッフではありましたが、)まさしく僕もそのひとりでした。
なんで趣味にそんなに人生賭けれるん?
当時つき合っていた女性からは、こんな風に言われました。たかが趣味に人生賭けるのは理解できないと。
たとえ人並みの贅沢ができなくても、自分の時間のほとんどをフットサルに奪われても、僕はまったくストレスには感じませんでした。それぐらいやりがいを感じていたし、それぐらいフットサルは魅力あるスポーツなのです。少なくとも僕にとっては。
メディアの存在意義。
Fリーグができる少し前ぐらいから、チームをプロ化するためにはフットサルで収益をあげられる仕組み(最近ではマネタイズという言い方をしますね)を作らなければいけないと考えるようになりました。素人ながらそういう事業を計画していく中で、とてもありがたかったのが、フットサルメディアの存在でした。
メディアが群雄割拠した時代。
他の競技チームは収益化を図るのに、どんな戦略で、どういう風にプロモーションしているんだろうと考えて、当時はフットサルメディアをむさぼるように見ていました。
雑誌のピヴォ、ナビ、ダイジェストやサンケイSAL。ウェブではフットサルネット、フットサルタイムズ、FCジャパン、フットサル情報倶楽部、関西フットサルWEB、フットサルラジオINVIO、フットサルピクスなどなど、パソコンのブックマークにはフットサル関連サイトがずらりと並び、いろんな選手のブログやmixiなど、毎日チェックするのが大変でした。
多くのメディアによって選手はブランディングされていく。
多くのメディアに写真や記事として取り上げられていくことで、身近だった選手が少しずつ雲の上の存在になっていくことを感じました。幼くてまだ青くさかった選手たちの言動は、注目されるごとにどんどん成長して、立派なアスリートに変わっていくのを目の当たりにしました。
他人から評価されることで、アスリートの意識は確実に変わる。
多くのアマチュア選手たちは、なにかの出版物やウェブに掲載されることを、「照れくさい」「恥ずかしい」と言います。しかしそれは表面上だけで、内心は「もっと俺のことを書いてくれ。俺を見てくれ。そして褒めてくれ。」と思っているものです。(なにしろ僕がそうでした。)もちろんそういう欲求をまったく持たず、純粋に競技だけに没頭している人も知っています。しかし、そんな人はごく少数です。
多くのアスリートはメディアが自分のことを評価してくれることを望んでいるし、悪く書かれるとナニクソ!と発奮するし、いずれにしてもメディアが競技力に良い影響を与えることは確かです。
フットサルメディアの現状はどうか。
今は印刷媒体がほぼ姿を消し、多くが出版費用のかさばらないウェブメディアに集約されました。そしてどのメディアも、収益化のポイント(マネタイズポイント)をどこにするかで苦労しているように見えます。
やりがいだけでは続けられない。
フットサルを一生の仕事にしようとしたときに、好きだから、楽しいから、だけでは、おそらく続きません。メディアに携わる皆さんも、多くのFリーガーのように、ほかの仕事をしながら続けているのかもしれません。もちろんそれだけで十分食えるよという人もいるでしょう。しかしそれもごく少数。こんな現実では、パッションもポテンシャルもバイタリティも持ち合わせた若い人が参入しにくいのは当然でしょう。
解決策はあるのか。
現時点では、フットサルメディアのマネタイズは自助努力にゆだねられています。
Fリーグをはじめとする競技フットサルの業界は斜陽の時を迎えているけど、その周りを取り巻くメディアは、自分の力だけでなんとか踏ん張っていかないといけないということです。
もちろん、そんな危機感は僕だけの杞憂にすぎないのかもしれません。
多くのひとは、競技フットサルが廃れても、フットサルというスポーツそのものはきっと無くならないんだから、別に自分は困らないと思っていらっしゃるかもしれません。
ひとつ解決策があるとすれば、フットサルメディア自体に投資することなのではないかと僕は考えました。
つまり、記事を書くこと、写真を撮ること、動画を編集すること、各種デザインすること、各種媒体に投稿すること、などに、適切な報酬を出せるように変革するということです。
そうすれば業界はもう一度日の出を見ることができるのではないかと思うわけです。
そんな当たり前のことは分かっている。じゃあその資金はどうやって捻出すんねんとお思いでしょう。
それはまた次のお話で。
今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。
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