今をさかのぼること27年前、僕は北海道の小樽にいた。
スポーツ新聞の片隅でよく名前だけは見て知っていた読売クと日産自が、ヴェルディ川崎と横浜マリノスという名称に変わって試合をしているのを、14インチのテレビデオで見ながら涙を流していた。
日本にもついにプロサッカーリーグが誕生した。略称は「Jリーグ」という。
そのJリーグ誕生の喜びに感極まって、僕は泣いていた。22歳の春のことだ。
おまえ誰やねん、である。
ところで、このブログは今後、宣伝の時以外はです・ます調をできるだけ使わないことにする。
何かの宣伝のときは、丁寧にです・ます調でいきますです。よろしくです。
Jリーグ第一号のゴールであるマイヤーのえげつない弾丸シュートが決まった瞬間は、(これでようやく日本も世界に近づける)と、再び涙を流した。
だから、おまえは誰やねん。
ふと画面の下のVHSに目をやると、テレビデオは録画されていなかった。
そして、僕は途方に暮れた。
2007年、Fリーグが開幕
今をさかのぼること13年前、日本にもついに、フットサルの全国リーグが誕生した。略称は「Fリーグ」という。
そのまんまやないかい。
「Fリーグ」という名称に対する当時の率直な感想である。大丈夫。声に出しては言っていない。それに、今となっては「Fリーグ」以外の名称を思いつかないほどしっくりくる略称だ。
当時僕は、競技フットサルにのめり込んでいた。
全国リーグの誕生は嬉しかったが、どこか、時期尚早な感じもした。というより、自分たちのチームが全く入れる体制にないことの歯がゆさと嫉妬を隠すための、(まだ早すぎるんじゃないか)だった。
Fリーグの隆盛と凋落
僕の心配をよそに、Fリーグは当初それなりに盛り上がった。2012年にはあの三浦知良選手がFリーグデビューを飾り、観客数は一時上向いたように見えたが、その後は下降の一途をたどっている。
Fリーグはいったい、何を間違えたのか
ここから先は、僕の憶測や偏った見方をもとに書かれている。事実には基づいていないことを念頭に、読んでいただきたい。いや、そういうのが嫌な方には読んでいただかなくてもいい。
もちろん反論は受け付けますが、忖度はしないのでこのエントリは消しません。個人的に反論したい方は、以下からメールしてください。舌の根も乾かぬうちにです・ます調です。
FはJの縮小版か
Fリーグは初めから、Jリーグのやり方を踏襲した。
Fリーグという略称。組織構造。クラブライセンス。ホームタウンとクラブ名称。フットサルはサッカーの縮小版なのだから、真似するのは当たり前だ。Jリーグの成功法則は、Fリーグにも当てはまるはずだ。誰もがそう考える。僕もそう考えた。
しかし実際は、そうはいかなかった。
ディズニーランドが成功したから、そのやり方をそっくりそのまま真似て、とっとこハム太郎ランドを建設するようなものだ。
なんて例えだ。
JとFは何もかもが違った
JリーグとFリーグはいったい何が違ったのか。僕が思いつくのは、大きく分けて以下の3つだ。
- 時代背景が違う
- スタート時点のバックボーンが違う
- 観客席のキャパが違う
ここまで読んでいただいている皆さんなら、もっといろいろ思いついているに違いない。
1.時代背景が違う
Jリーグが誕生した1993年頃、観るスポーツとしてのサッカーの最大のライバルは野球で、それ以外でいうと相撲やプロレス、K-1などの格闘技、あとはF1やゴルフぐらいだった。1980年代初頭に僕らが熱狂したキャプテン翼、1986年ワールドカップでのマラドーナの大活躍などにより、サッカーはブームと呼んでよいほどの人気があり、Jリーグがこれらライバルスポーツに対抗するのに十分な素地ができていた。
一方Fリーグは、誕生と同時にスマホ・SNS時代が到来。人々の興味は多様化した。エンターテインメント全てがライバルという大海原に、フットサルという小さな船で漕ぎ出したのである。
2.スタート時のバックボーンが違う
Jリーグは多くのクラブの前身が実業団で、大企業の全面的なバックアップを受けていた。いや、本当に全面的なバックアップを受けていたかどうかは知らないが、いずれにせよ、Fリーグほどの不安はなかっただろうことは想像に難くない。
3.観客席のキャパが違う
Jリーグのスタジアムにくらべ、Fリーグのアリーナは平均してみると10分の1以下のキャパしかない。ちゃんと計算したわけではないが、だいたいそんなものだろう。クラブに関係する人数も比例して10分の1以下であれば単純にビジネスにもなろうが、FリーグのクラブがJの10分の1のスタッフでは成り立たないことは明白だ。
つまり、FリーグがJリーグを真似て成功する可能性は、はじめから薄かったのである。
Fリーグが犯した最大の過ち
Fリーグの失敗は、選手を前面に押し出したプロモーションをしなかったことだと思う。いや、実際はしていたのかもしれない。しかしそれが、一番前面に見えてこなかった。
選手よりもFリーグという組織、Fリーグの各クラブという組織を前面に押し出してしまったのだ。
わかりにくい?
では具体的に質問しよう。
あなたが生まれて初めてフットサルの試合を見に行くとします。チームを見に行きますか? それとも、その試合に出る誰かを見に行きますか?
あるいは、あなたが実際に生まれて初めてフットサルの試合を見に行った時、チームを見に行きましたか? それとも、その試合に出ていた誰かを見に行きましたか?
え?それがどうした?
では次の質問はいかがか。
あなたはある選手を見るために行った試合で、フットサルの魅力に取りつかれ、そのチームの試合を見に行くようになりました。1年後、そのきっかけとなる選手ははるか遠い地域のチームに移籍してしまいました。その後あなたはどうしますか?その選手のいなくなったチームを全力で応援しますか?それとも、多額の旅費をかけてその選手の応援に行きますか?
Fリーグを誰が見に来るようになって、誰が見に来なくなったのか
Jリーグでも前段の2つめの質問のように、応援している選手が移籍してしまってサポーターがやるせない感情になることは日常茶飯事である。しかし僕は、Fリーグのほうが、選手と観客の間柄は近しいような気がしている。初めてFリーグを見に行くきっかけが「選手が知り合いだから」ということが、Jリーグよりもはるかに多いと感じている。
選手の移籍や引退によって、アリーナへの足が遠のいた観客はそこそこ多いのではないか。
最大の過ちは、選手の発信を検閲したこと(憶測)
選手個人と観客との(親しさという意味での)距離感が近いFリーグは、せっかくのSNS全盛の時代の波に、乗り遅れた。
はっきり言えば、選手がブログやSNSなどで発信する内容のなかに、リーグやクラブなど組織に対して少しでもネガティブな内容があればそれを排除したのだ(と僕は推測している)。
この検閲がリーグによるものかクラブによるものか、それはわからない。
ひと昔前のFリーガーによるSNSの発信が、差しさわりの無い言動で溢れていたことが、それが真実であることを物語っている。(と僕は推測している)。
2019年、一筋の光明が差した
Fリーグも選手がひと回りして、辞めた人間、外に出た人間が組織に対して忖度しなくてもよい時代がやってきた。
それと同時に、SNSで現役の選手があか抜けた発信をするようになってきた。リーグやクラブは、いよいよ選手自らが動き出したこの流れをもう止めることはできない。というよりも、この流れにリーグ自体が乗ろうとしているようにも感じる。
次に打つべき手はなにか。
ここからは僕の提案である。バカげた案が3つある。そのうちの2つをここで紹介する。
1.過去に遡ったFリーガー全選手の選手名鑑を作る
ひとつ目はここ数年、密かに僕が考えていた案なのだが、実行に移そうとしたはじめの一歩でつまづいたので、ここでその案を公開しようと思う。
Fリーグに所属した全選手の選手名鑑を作って、ウェブで公開するというものだ。Fリーグ選手はクラブを移籍したり引退したりすると、よほどの選手でない限りその情報は葬り去られることが多い。
僕の構想では、選手の出自やフットサルの所属クラブの経歴はもちろんのこと、その選手が獲得したタイトルやスタッツ、ギャラリーページや動画など、いつでも誰でも見られるようにするというものである。権利的に難しい問題が山ほどありそうだし、途方もない仕事量になりそうだが。やり遂げればフットサル界の賀川浩と呼ばれそうだ。誰かやってください。
同じような発想の、「Fリーグ選手名鑑SALペディア」というのが「フットサル全力応援メディア SAL」内のページにあるが、似て非なるものだ。僕の構想の選手名鑑は、今の所属クラブでインデックスされない。あくまで選手の氏名でインデックスされるのだ。そしてその選手の情報は、増えこそすれ、本人がそれを望まない限り消えることはない。
2.クラブライセンスにTwitterのフォロワー数を
2つ目の案は、ホームアリーナの収容人数をクラブライセンスの条件に入れるのを廃止して、代わりにTwitterのフォロワー数を条件に入れるというものだ。
現実的な数字で、F2リーグは3000人、F1リーグは1万人ぐらいか。クリアできそうなら毎年、翌年の条件はF2は5000人、F1は2万人などハードルを上げていくとか。Twitterのサービス自体が消える可能性もあるか(笑)
各クラブ、全力で投稿するようになるだろう。フォロワーを増やさないとライセンスはく奪だ。そんな殺生な。
真のSNS戦略を学べば、Fリーグはまだまだ集客できるはずである。
さて、もうひとつのバカげた案については、次のブログのテーマということにしておこう。
今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。
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