京都のフットサル界で僕がやろうとしていたこと / 第8章 セカンドキャリア問題解決のために。

フットサル選手という職業を真の「憧れの職業」とするためには、引退後の仕事の問題、セカンドキャリア問題を解決しなければならない。

誰もがフットサル場のオーナーになれるわけではない。育成現場の指導者も、コーチ枠には限りがあるし、生涯続けられるわけでもない。

2007年のFリーグ発足時から、このセカンドキャリア問題の取り組みについては、関東リーグ出身のクラブがほかの地域のクラブよりも力を入れているように感じる。それは、黎明期から日本のフットサル界を支え続けた功労者ともいえる人達が今もクラブの中心にいるからであって、いわば戦友ともいえる選手たちの引退後の生活も考える努力を、続けてきたからだと思う。

Fリーグクラブに課せられた、厳しすぎる試練。

全国リーグ発足時に、JFAがサッカーの繁栄の歴史をそのままフットサルに適用できると考えたことは、あまりにも安易だったのではないかと、僕は思う。

  1. クラブの法人化。
  2. 融通の利く2000人以上収容可能の体育館の確保。
  3. リーグへの供託金800万。
  4. 地域リーグでのそれなりの実績。

これが参入の条件だったと記憶している。1と4はともかくとして、2と3は若干ハードルが高い。当然と言えば当然だが。

君たちフットサル関係者がどうしても全国リーグを作りたいって言うなら作ってやるが、我々は尻ぬぐいはしない。君たちの責任の範囲内で運営しなさい。

JFAが言いたいのはそういうことかと、僕には思えた。

クラブは年間5,000~8,000万円程度の予算規模で運営する必要があり、スポンサーからの寄付金が不可欠だ。予算的にはかなりショボい興行になりそうだが、それでも地域リーグのときの数十倍の予算だ。フットサルはサッカーを含めた多くの他競技のように、実業団からのスタートではない。一般の任意団体に求めるには、かなり厳しい条件だった。

クラブ経営についても、リーグ戦のチケット収入やスクール事業、フットサル施設運営だけで賄えるのは、クラブが雇う数人のスタッフとごく一部の選手の人件費だけで精一杯だろう。選手のセカンドキャリアを考える前に解決しなければいけないことが山ほどある。

もしも僕がフットサル全国リーグ立ち上げの責任者ならこうしていた。

ここから先は例によって僕の妄想の世界だ。妄想は楽しい上に、金がかからない。

  • 数年後のFリーグ立ち上げ宣言をする。しかもJクラブや競合する他競技の少ない地方自治体には特に積極的にアピールして、クラブ誘致を勧める。
  • 会場は収容人数が500人~1000人程度でもOKとする。空席でスカスカより、立ち見であふれるほうが会場に一体感が生まれる。チケットは毎試合すぐにソールドアウトだ。チケットの値段は現行の倍は取れる。結果的に今よりもチケット収入は増す。
  • 興行は当該自治体の所属するフットサル連盟が主管する。
  • リーグの主な収入源は、動画などの広告収入と、toto(第7章参照)とする。
  • toto事業がうまくいけば、観戦や動画配信やメディア取材の利便性を最大限に考慮したフットサル専用スタジアムを各所に建てる。これも観客席は少なめぐらいがちょうど良い。
  • 最終的にはFリーグは2部、3部制として入れ替えも行う。

こんな構想がすべてうまく行くはずもないし、多くの問題があるとは思うが、実際に僕が考えていたことなのだから仕方がない。

セカンドキャリア問題はこうだ。

フットサル専用スタジアムの建設が落ち着いたら、資金の使い道をセカンドキャリアの方にも廻す。

クラウドファンディングで選手のビジネス的な期待度や人気度を数値化する。

選手には指導者に向いていない者もいるし、誰もが解説者としてやっていけるわけではない。選手がプロデュースするフットサルブランドがすべて、商売として成り立つかもわからない。スポーツバーがやりたい、ラーメン屋がやりたいという人もいるだろう。こういう職業につきたいから学校へ行って勉強がしたいと考える選手もいるだろう。

そういう選手のために、リーグが主催するクラウドファンディングに参加して一般から出資を募ることができるようにする。クラウドファンディングで一定額の寄付を得られたら、例えばその10倍の金額をリーグやクラブが選手に共同出資するといったモデルケースを作る。モデルケースが上手く機能して、真似たいと考える選手が増えれば成功だ。選手は現役中、いくら能力が高くてちやほやされても天狗にはならない。誰からも愛される選手にならなければならないからだ。相乗効果でファンを増やすこともできる。これはクラブにとってもリーグにとっても、非常に好ましいことだ。

クラブは選手に「タニマチ」をつけてあげる努力を。

現役のプロスポーツ選手というのは、華やかさがある。
クラブは積極的に、選手に財界人や芸能人などとの接点を作ってあげるべきだと、僕は思う。
具体的にどうするかというと、フットサル場や体育館でのファン感やBBQだけを行うのではなく、後援パーティや小規模の食事会などを頻繁に行って、より親近感の沸く場を提供する。選手は自分の持つ華やかさに気づいていないことが多いので、仲間内でしか行動しない。それではいけない。

例えば選手が運よく、ある大物経営者などと接点を持ったとする。そこから先は選手自身の問題だ。例えば経営者には、「今僕は、ただのプロスポーツ選手ですが、引退後にはこんな夢を実現させたいと思っています。そのためにあなたにお願いしたいことは、誰でもいいので僕に、あなたが信頼のおける人を紹介してくれませんか?」とお願いするのだ。人との繋がりは、可能性を無限に広げてくれる。

セカンドキャリアの問題を、クラブ主導で積極的に解決していけるクラブには、良い選手が集まるし、良い選手が育つと思う。

最も必要なことは、Fリーグを成功させるために、Fリーグ自身が本気で取り組むこと。

興行を成功させられたてきたかどうかという点についていうと、Fリーグのこの10年は失敗だ。観客が入らないのはクラブの頑張りが足らないからだと言うようなリーグ運営なら、運営自体を総入れ替えするべきだ。
フットサルの試合は、フットサルを知らない人が見ても面白いのだ。エンターテインメントとして十分に成立する。これからのFリーグ、地域リーグ、都道府県リーグの発展と成功に、期待したい。[了]

以上、「京都のフットサル界で僕がやろうとしていたこと」シリーズはこれで一応完結です。
これ以外のテーマのコラム的な投稿も、これから随時していきたいと思います。最後までお読みいただいてありがとうございました。

前回:【第7章 競技フットサルは最高のコンテンツ。】へ

 

今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。



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